あなたの街のお出かけスポット
みなさん、こんにちは。
編集部の源九郎と@SHOWです。
今回、まいぷれ編集部では初となるライター2人がかりでの取材になりました。
と言うのも先日、自称さすらいの中年ライターが瀬戸芸のアート取材に行ったはいいものの、事前の許可を取っておらず、『取材NG』という大チョンボ。
瀬戸芸の夏会期はもう始まってるし、地元密着がモットーのまいぷれとしては、このままスルーはできないが・・・。
ど、どうする? アイ○ル。
ふ、ふるっー!年がばれる(笑)
そうこうしていると編集長から、「早く男木島に行ってがっつりアートを取材して来い!」というミッションが!
うちのエースのさすらいライターがチョンボを犯す程のハードミッション。そのリベンジを果たすには気合いを入れて2人がかりで臨まなければ!ということで、長い前置きになりましたが、こうして男木島取材に行ってくることになりました。
おっと、リベンジに向かう我々も実は中年コンビなんです。「まいぷれは中年ばかりか!」なんて言わないでぜひお付き合いください。
男木島のアート作品をご紹介する合間に、島で出逢った美女ならぬ“美ニャンコ達”もスナップしているので、お気に入りのニャンコも見つけてくださいね。
島の概要
高松港からフェリーで約40分と意外に近い男木島。若い世代のUターンにより休校していた学校の再開、クラウドファンディングによる図書館の設立など今大きな注目を集めています。
われわれ中年コンビも今回初めて男木島を取材するということで、どんな島なのか島の歴史をちょっと調べてみました。
すると島にまつわる深イイ話を発見しましたのでご紹介させていただきますね。
男木島は平地が少なく漁業中心で、水田もなく畑での農作と、昭和30年頃までは牛の飼育が盛んだったようです。
ここに「男木島の歴史」西村望/著 という本があります。
これは男木島の文化や歴史、公的記録から島の風習や行事まで情報を凝縮したものですが、男木島の牛たちについても紹介されています。
牛たちは春・秋の農繁期には舟に乗せられ、高松の農家に「かりて牛」として農耕用に貸し出されていたそうです。
およそ1ヶ月の出稼ぎで骨と皮と表現されるほど痩せこけた牛たちは舟で島に戻り、陸へ追い上げられると、声高らかに啼いた後、どの牛も迷うことなく主人のもとに独り歩いて帰るのだそう。
よろよろとわが家に帰り着いて、主人に顔をすりよせては首筋をたたいてもらいながら黒い瞳を潤ませている牛の姿がいたるところでに見られたようです。
島では穫れない米を獲得して。
男木島では農耕機が普及し、報酬が下がりつづけた後も牛を手放すことなくとして大切にされ、牛が事故で死んでも売る事も食べる事もなく手厚く埋葬されたそうです。
もともと、日本人は動物の捕殺を嫌がるところがありますが、島では牛が家族の一員として大切に扱われていたことがよくわかるお話ですね。
アクセス案内
男木島へは高松港から女木島を経由しフェリーで約40分。
運航料金 | 高松⇔男木島 |
大人 | 510円(往復 1,020円) |
小人 | 260円(往復 520円) |
運航時刻は時期により異なり、8月1日~8月20日は便数が増えるようです。
高松⇔女木⇔男木の時刻表
短い船旅に出発
窓口にきっぷを買いに並びます。
左手が女木・男木島行きの乗り場
ここから乗るよ~! by @SHOW
男木島までは40分の短いクルーズ。
客室でゆったり過ごすのもいいけど、お天気ならデッキで潮風に吹かれながら海を眺めているのもいいかも。
デッキからの瀬戸内海の眺めは最高!
ベストショットを収めてきます! by @SHOW
女木島を出るとすぐに男木島が見えてきます。
いよいよ到着。
男木港と島の案内所が見えてきました。
男木島アートの紹介
「男木島の魂」 ジャウメ・プレンサ
男木港に着いて真っ先に出迎えてくれたのが島の案内所、男木交流館。
「男木島の魂」はスペインを代表する世界的なアーティスト、ジャウメ・プレンサの作品で、島を訪れる人々を温かく歓迎してくれます。
屋根は8つの言語を不規則に組み合わせたデザインで、独特な空間をつくり出しています。日中は地面に映し出されたシルエットを楽しめ、夜はライトアップされ、空に向かって放たれた光が幻想的な雰囲気を演出してくれます。
日本語も含まれているのですが、見つけられるかな?
お土産も売ってます!
「青空を夢見て」 レジ-ナ・シルベイラ
男木港から海水浴場方向に細い坂道を登っていくと、男木小・中学校が見えてきました。
すると目に飛び込んできたのは、鮮やかなスカイブルーの大きなな建物!
ま、まさか、学校の校舎がアート作品!?
はい、そのまさかです!
体育館の壁をキャンバスに描いた「青空を夢見て」レジ-ナ・シルベイラ作。
壁面いっぱいの青い空に、モザイク画のような雲が描かれています。
シルベイラ氏が島を訪れた際、瀬戸内の青い空と光にとても感動し、それが作品のイメージの源になっていて、子供たちに詩的な体験をさせたいとの願いが込められているそうです。
こちらに気付いた生徒さんが元気に挨拶をしてくれました。
見知らぬ中年コンビに挨拶をしてくれるなんて・・ 心がじんわり温かくなりました。
「歩く方舟」 山口 啓介
旧約聖書『創世記』のノアの方舟に想を得て生まれた作品なのだそう。
瀬戸内の風景に溶け込むような青と白をまとった山が力強く海を渡っていくさまを表現したユニークなアート。
この作品には福島のいわきに向かって歩き出し、災禍を鎮めるという思いが込められています。
あまり大きそうには見えませんが・・
足のサイズを比べると・・
じつは結構大きいんです!
「男木島 路地壁画 プロジェクトwallalley」 眞壁 陸二
男木島を散策すると随所に現れるカラフルな壁面。
「wallalley」は、wall「壁」とalley「路地」をあわせた造語で、島で集めた廃材に男木島の風景をモチーフにシルエットを描いているそう。
カラフルでありながら島に溶け込んだアートといえるのかも知れません。
近づいてシルエットのモチーフを探してみて!
作品を最も多く楽しめるエリア
黒く見えるのは杉の木のモチーフでしょうか?
「あんた、島のもんじゃないな」そんな眼差しでした。
「オルガン」 谷口 智子
島の路地に張りめぐらされたパイプで構成された体験型アート作品の「オルガン」
潜望鏡か望遠鏡、はたまたロボットのようにも見えますね。
レンズを覗いたり、耳をあててみたり、ハンドルを動かして足踏み式オルガンのような音を出してみるなど、いろいろ楽しめます。
歌詞の向こうには何が見えるのかな。
エイッ! ハンドルをおすと懐かしい足踏みオルガンのような音色が楽しめます。
坂を下った所(カーブミラーの下)まで延びています。
パイプに『おーい』と叫ぶと、パイプで繋がっている先の人に声が聞こえるようになっています。
オンバ・ファクトリーの運搬機
道に停めてある運搬機もアートです。
「ONBA FACTORY NO.120」と記されていました。
涼しい場所は見逃しません!日陰はニャンコの休憩場所みたいです。
「男気プロジェクト」 TEAM男気
突然ですが、みなさん「男気」ってご存じですか?
@SHOW:男気と言えば鳥羽一郎やろ!
源九郎:やっぱり高倉健でしょ。
編集部A:和田アキ子。
おい、女性やろ!確かに男気を感じるけども。
そんな話はさておき、辞書で調べてみると・・
「弱い者が苦しんでいるのを見逃せない気性。男らしい気質。義侠心」だそうです。
男木島の漁師たちはかつて、「瀬戸内でもっとも気性が荒かった」と語り草になっていて、そんな漁師たちの心意気が「男気」なんです。
その「男気」を漁船や大漁旗、祝い旗に表現したのが、TEAM 男気が手掛ける「男気プロジェクト」
大漁が期待できそうなこの漁船も、もちろんTEAM 男気の作品。
TEAM男気さんの工房。躍動感に溢れていますね。
海岸沿いを歩いていると茶トラ君が後ろから追って来たと思いきや、抜き去って行きます。「ついて来るかい?」と言わんばかりに。
誘われるままに後をついていくと、岩場でエサを探していました。
チャトランの大冒険?
防波堤の石垣の間をのぞきながら・・
海面をのぞきこんでいます。
茶トラ君がちゃんとエサを捕るのを見届けたかったのですが、おなかが減って中年コンビはもう我慢の限界。先にお昼をいただくことにしました。
茶トラ君、 ゴメンm(__)m、空腹には勝てませんでした・・。
ランチタイム
男木島Cafe TACHIさんでお昼をいただきます。
ねこまんまとあん入り雑煮を注文。
ねこまんまにはお醤油。
店内はお客さんでいっぱい!
あん餅雑煮は白みそで。これぞ香川の伝統の味。
県外の方には驚き!のあん入り餅の雑煮!汁とあんとの相性が絶妙。
店内は和やかな雰囲気で、いつまでものんびりしたくなります。
お昼寝がてら絵馬の見張り番
アート以外の魅力
島のアートも素晴らしいけれど、斜面に建つ家屋の石垣も見応えあり!
「船板の壁」家の壁に漁船の廃材を利用。
路地に沿って石垣が続いていくさまは壮観
建物の土台を強くしたり、土地の境目をはっきりさせる役目をもつ石垣ですが、積み方もいろいろ。写真左手は石を自然なかたちで積んだ野面積み(のづらづみ)で古くからある技法です。
野面積みの上には漁船の廃材などを利用した板壁となっており、男木島の特徴ある風景です。写真右手の石のかたちがそろった石垣は切り込み接ぎ(きりこみはぎ)で、近世から普及した積み方のようです。
一帯の風景は城郭の曲輪(くるわ/城の内外を石垣や堀で区画した区域)を彷彿とさせます。
美しく堅固な石垣を眺めながら、先人たちの苦労に思いを馳せるのでした。
朝の8時に高松港を出発してから、怒涛の取材攻勢でお届けしてまいりました男木島アートの旅。
気がつけば17時と、あっという間に高松行きフェリー最終便の時間です。
男木交流館でフェリーを待ちます。
男木島オリジナルグッズをながめていたら、売店のご婦人から島の名物「ひしお」を試食させていただきました。
いわゆる金山寺味噌のような感じなのですが、適度に塩も効いて酒の肴にもぴったり。さっそく買って帰りました。
交流館ではお土産も買えます。
男木島名物「ひしお」がここで買えます。
男木島をあとにします。
また来るね~
取材後記
皆さま、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
前回の男木島特集同様、がっつり取材となりましたが、楽しんでいただけましたか。
編集長から突然ムチャ振りされた、男木島のアート取材も無事ミッションを達成できたのではないかと思っています。
どの作品も個性的で光彩を放ちながらも、島民の方々の生活に溶け込んでいたことがとても印象的でした。
また男木島特有の石垣に囲まれた迷路のような坂道と高台からの眺め、時おり出逢う猫たちも忘れられません。
取材をしていても、猫たちが島民の方々に愛されながらも、増えすぎや、それに伴う様々な問題が存在することを感じます。島を散策するとネコのエサやりに関する掲示物を見かけます。
先日のニュース報道によると、男木島では島民間で話し合ってこの猫たちを地域ぐるみで管理し、「地域猫」として共存して行く方針をうちだしたようです。
島に生息する猫の繁殖を抑え、エサを与える場所とタイミングを決め、改装した家屋をその拠点とするなどの取組みが紹介されていました。
かつて生活の糧をもたらしてくれた「かりて牛」とは次元の違う話かもしれませんが、猫たちを家族として迎え入れ、共生していく島の選択は画期的なことだと思いますし、今後見守っていきたいと思います。散策で出逢った猫たちの幸せを願ってやみません。
最後に今回取材した作品はどれも恒久展示の作品で、芸術祭の会期終了後も引き続き展示されています。「男木島に行ってみたい!」と思われた方は、各作品の展示場所が一目でわかる「芸術作品の鑑賞MAP」を高松市の文化芸術振興課が作成しておりますので、下記リンクからご覧ください。
■女木島・男木島の芸術祭作品鑑賞MAP(高松市HP)はこちらから 野良猫をこれ以上増やさないで!
編集部のライター紹介
@SHOWです。
源九郎でごわす。
オマケ
大チョンボの「さすらいの中年ライター」
フォトギャラリー
高台からの眺め。ベストショットです!
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